苔テラリウムを始めたい人のための一覧。ガラス容器の中で苔を育てる遊びは、苔の質と店の説明で結果がほとんど決まる。しおれた苔を買えば、どんな高い容器でも一か月で茶色くなる。ここに並ぶのは、生きた苔、容器、土、育成ライトまで面倒を見る苔テラリウムの専門店。完成品をそのまま飾りたい人、キットで自作したい人、教室で基礎から習いたい人、それぞれの入り口がある。蓋を閉めたまま数週間に一度の霧吹きという管理が基本なので、育て方をどこまで説明してくれるかは値段と同じくらい効く。ホームセンターの園芸コーナーで名前も分からない苔を前に迷った経験があるなら、なおさら比べる価値がある。贈り物に選ぶ場合も、包装と配送の扱いで店の差が出る。
比べたのは地味な部分ばかり。ホソバオキナゴケやヒノキゴケなど扱う品種の数、出荷前に苔を養生しているか、完成品の価格帯、キットに容器と土と説明書がそろうか、ワークショップの料金と所要時間、その日に持ち帰れるか、実店舗の場所と営業日、送料の条件、枯れたときに相談できる窓口があるか。苔を自分で栽培している生産直売の店と、作品づくりと教室が中心の店では、得意な部分がまるで違う。前者は品種と量で選べて価格が安い。後者はレイアウトの完成度と教え方で選ぶことになる。通販だけの店も落としていない。地方に住んでいれば、送料と梱包、それに夏場の配送の気づかいの方が大事になる。日陰に強い植物とはいえ、窓のない部屋に置くなら育成ライトの取り扱いも見ておきたい。
順位は編集部の好みでは動かない。並び替えるのは利用者の投票で、票が集まった店が上に上がる。気になる苔テラリウムの専門店が見つかったら、カードの長所と短所を読み、実際に買った人の口コミも確かめてほしい。常設店があるのか、通販と卸だけなのか、教室の予約が取りやすいのか、そこも忘れずに確認を。
鎌倉の由比ヶ浜、路地裏の古民家で営む苔のブランド。JR鎌倉駅西口から徒歩6分、江ノ電の和田塚駅からは徒歩3分。苔研究家の園田純寛氏のアトリエ兼店舗で、掘りごたつを使ったミズゴケ園という変わった展示もある。植えてすぐ売らず、1か月から3か月かけて苔を根づかせてから出荷する方針で、色味と虫の出にくさを重視している。完成品、制作キット、ガラス容器、苔や土まで扱う。
体験は1時間ほどで終わる1回完結の回から、じっくり学ぶ苔テラリウム講座まで。鎌倉の苔を歩いて見る散歩企画もある。水やりのいらない加工苔「クラフトモス」を使った商品もあり、留守が多い家や職場の机に向く。通販は別サイトのオンラインショップで、冊子と動画が付く制作キット、アウトレット品、苔のアクセサリーもそろう。鎌倉まで通えない人は、通販とキットが中心になる。
神奈川県鎌倉市由比ヶ浜2-4-22
2013年に立ち上がった苔テラリウム専門ブランド。運営は合同会社道草で、本社は東京都大田区東六郷、設立は2021年3月。代表の石河英作氏は「部屋で楽しむ小さな苔の森」などの著者で、YouTubeの道草ちゃんねるは登録者30万人規模。通販は別ドメインのオンラインショップにあり、動画解説付きの作製キット、苔テラリウム向けの着生ラン、ガラス容器やツールが並ぶ。
常設の展示販売店は持たず、買う場所はオンラインか全国の取扱店。青森の奥入瀬渓流館や練馬の植物店など、卸先には園芸店以外の雑貨店やインテリアショップも含まれる。アトリエでは月に一度の販売会を開き、教室は全3回の講座形式で、苔の生態からピンセットの持ち方まで扱う。栽培に困ったときはLINEで相談できる。現物を手に取って選びたい人には向かない。
大阪市中央区上本町西に事務所兼店舗を構えるコケリウム専門店。代表の岡村氏はテレビ番組の苔箱庭王選手権で優勝した経歴を持つ。通販が主力で、苔の生体、約1kgの専用ソイル、溶岩石や化粧砂、育成LEDライト、ガラス容器までひととおりそろう。ホダ木や菌床からきのこが出る、きのこリウムのキットという変わり種もある。
品種ごとの解説が細かく、ホソバオキナゴケのように乾燥に強い種か、湿り気が要る種かを読んでから選べる。作り方のページやレイアウト集、漫画仕立ての解説まで用意され、初めての人が迷いにくい。初心者向けキットは特価が出ることがあり、材料を別々に買うより安く付く場合がある。ワークショップは店舗と出張の両方に対応。営業は平日の10時半から16時で昼休みが入り、土日祝は休みなので、電話や来店の時間帯には注意が要る。
大阪府大阪市中央区上本町西4-1-9 ヴィレッジヒル上町台201
大阪の南船場、心斎橋駅から歩いてすぐの苔専門店。2016年の開店で、オーナーの今田氏が苔テラリウム、硝景、苔盆栽、苔玉を制作して販売する。完成品だけでなく、苔、用土、容器といった材料も店頭に並び、卸売や苔庭の施工まで請け負う。JR東海の「そうだ京都、行こう。」キャンペーンへの作品提供や、大阪の万博での展示など、外向けの仕事も多い。
教室は作る物を先に決めてしまわない進め方で、置く場所の明るさや湿り気を聞いてから苔を選ぶ。営業は12時から20時、水曜が定休。仕事帰りに寄れるのは大きい。オンラインはSTORESの店舗があるが、品数は店頭ほど多くない。まとまった量の苔がほしい人、庭まで含めて相談したい人にも向く。
大阪府大阪市中央区南船場
2023年6月に名古屋市千種区池下町で開いた苔テラリウムの専門店。地下鉄の池下駅から徒歩3分。テラリウムデザイナーの古原由香氏が手がけ、店内には作品がずらりと並び、ワークショップ用のサロンスペースが併設されている。苔テラリウムのほか、盆栽や苔玉も扱う。
体験はまずテーマを決め、砂で傾斜を作り、石を置き、苔を植えていく流れ。短い時間で形になるので、手先に自信がない人でも仕上がる。名古屋の中心部で苔テラリウムを実物で見比べられる店は多くないので、東海圏の人には行きやすい。通販の体制は大手ほど整っていないため、遠方からの買い物には向かない。
愛知県名古屋市千種区池下町
大阪府寝屋川市の空き民家を使った苔テラリウムの店。営業は日曜だけで、祝日は休み。年配の二人が「苔を身近に」という気持ちで始めた素朴な店で、タマゴケ、シッポゴケ、コツボゴケ、コウヤノマンネングサなどを自家栽培している。撒きゴケ法や移植法を自分たちで試しながら育てた苔を、そのまま店頭に出す。
教室は少人数で、苔の育ち方を聞きながら作れる。値の張る資材や凝った容器を求める人には物足りない。逆に、苔そのものに興味がある人、家の近くで気軽に始めたい人には合う。営業が週に一日なので、出かける前に日程の確認は必須。
大阪府寝屋川市
埼玉県秩父地方の苔を自家栽培し、オンラインだけで売る苔テラリウム専門店。秩父の自然を部屋に持ち込むという考え方で、地元原産の良質な苔を育て、作品や材料として出している。注文はSTORESのショップから。実店舗はない。
小さな作り手なので、大手のように毎日大量の在庫が並ぶわけではない。気に入った作品を見つけたら早めに動く方がよい。国産で、しかも産地がはっきりした苔を使いたい人には選ぶ理由がある。教室や実物確認を重視する人は、常設店を持つ店と併せて見ておきたい。
静岡県富士宮市の苔専門の農業法人。栽培歴はおよそ40年で、庭園用、盆栽用、テラリウム用と用途で分けて売る。スギゴケ、スナゴケ、ハイゴケ、シッポゴケ、タマゴケ、ホソバオキナゴケ、ヒノキゴケなどを品種ごとにトレーやミニパックで選べる。黒土、川砂、けと土、富士砂、化粧砂利、溶岩石といった資材も同じ店でそろう。
苔テラリウムキットや苔玉キットもあり、道具を持っていない人でも始められる。合計30,000円以上で本州は送料無料。注文を受けてから苔を採取するため、天候によっては発送が遅れる。少しだけ試したい人はミニパック、庭に手を広げたい人は苔庭の相談フォームという使い分けができる。完成品の作品を買う店ではない。
静岡県富士宮市大宮町13-4
苔の販売に絞った通販店。苔テラリウム用、盆栽用、庭用と用途で分類し、スナゴケ、ハイゴケ、ウマスギゴケ、ホソバオキナゴケ、カモジゴケ、シッポゴケ、シノブゴケ、ヒノキゴケ、フロウソウ、タマゴケ、カサゴケ、ミズゴケなどを品種名で選べる。1平米単位のセットもあるので、庭に敷きたい人まで守備範囲に入る。
主役は苔そのもので、しゃれた容器や完成品の作品ではない。作りたい景色が決まっていて、必要な品種と量がはっきりしている人にはいちばん早い。逆に、何を買えばよいか分からない段階だと迷う。実物を見て決めたい人は、作品を並べている常設店で目を慣らしてから注文する方が失敗が少ない。