レジの入れ替えは、その店の売上データをどこに預けるかという決断でもある。POSレジシステムメーカーを比べるとき、月額の安さだけを見ると後で困る。開業したばかりの一人店舗が無料アプリで足りるのか、数十店舗の在庫と原価まで一元管理したいのか、生鮮売場の値付けやセミセルフ精算機まで含めた設備更新なのか、正解は業態と規模でまるで変わってくる。この一覧は飲食、小売、美容サロン、食品スーパーまで、それぞれの現場で実際に名前の挙がる提供元を並べたものだ。人手不足でセルフレジや券売機の相談が増え、選び方の物差しも数年前とは違ってきている。タブレット一枚で始める方式と、売場ごと作り替える据置型が同じ市場に同居しているのが今のPOSレジシステムメーカーの姿だ。
選定で見たのは五つ。初期費用と月額の刻み方、決済手数料の率、対応業種と周辺機器(レシートプリンター、ハンディ、キャッシュドロア、券売機)の揃い具合、外部サービス連携の本数、そしてサポート体制である。電話窓口があるのか、有償オプションなのか、24時間365日なのか、故障時に人が来てくれるのか。ここが弱いと、繁忙日の一時間がそのまま売上を削る。クラウド型だけでなく据置型の大手メーカーも入れたのは、レジ台数の多い現場では設計と保守の力がそのまま安定性になるからだ。無料プランで始まるサービスと、個別見積で数年使う設備型が同じ表に並ぶので、価格は必ず前提条件つきで読んでほしい。台数の追加料金や周辺機器の実費が後から乗る例も珍しくない。インボイス対応や免税販売の制度改正に追従する速さ、会計ソフトや予約台帳との連携可否も合わせて確認した。
順位は編集部が決めない。動かすのは利用者の投票である。各カードでは料金の前提、良い点と弱い点、実際に使った人の声を読み比べてほしい。見積は台数と業態で必ず変わるため、候補を二社か三社に絞り、ショールームや量販店の店頭で実機を叩いてみるのが早道だ。レシートの出方、返品処理の手数、レジ締めにかかる時間まで見れば、カタログでは分からない差が出てくる。加えて、スタッフが辞めた翌週に新人が触れるかどうかも、地味だが効く判断材料になる。
大阪発のクラウドPOSで、iPadとiPhoneを端末に使う方式を早くから広めた。運営は2005年設立の株式会社スマレジ、東証グロース上場企業である。無料のスタンダードプランから始められ、在庫管理や顧客管理、複数店舗の売上比較まで使うならプレミアム系の有料プラン、飲食にはハンディを含むフードビジネスプラン、物販にはリテールビジネスプランが用意される。レジ端末は1店舗3台までで、追加は1台あたり月額1,540円(税込)。免税販売の方式変更にも対応してきた。決済端末PAYGATEと連携すればカード決済と会計を一台にまとめられ、レジ横の機器を減らせる。
外部アプリを足していく設計なので、会計ソフトや予約システムと組み合わせて使う店に馴染む。逆に無料プランは機能が絞られており、在庫と分析を本気で使うなら有料前提と考えたほうが健全だ。iOS端末は自分で用意する必要がある。大阪本町、東京の大崎と赤坂、福岡天神にショールームがあり、実機を触って決められるのは初めての導入では心強い。
大阪市中央区本町4-2-12 野村不動産御堂筋本町ビル3F
リクルートが提供するiPad向けPOSレジアプリ。初期費用も月額も0円で、会計、商品登録、売上分析、顧客管理まで無料の範囲に収まるのが最大の特徴だ。決済はキャッシュレスのAirペイと組み合わせる形で、クレジットカードが3.24%、交通系などの電子マネーが2.95%、QRコード決済が0.99%から2.95%の手数料。iPhoneを注文端末にするAirレジハンディ、シフト管理のAirシフトなど、同社のAirシリーズと束ねて運用できる。
開業直後で現金支出を抑えたい小規模店、まずレジ締めと売上集計をデジタル化したい店に向く。一方で、予約台帳との一体運用や細かい原価管理といった業種特化の作業は、別サービスの併用が前提になる。家電量販店の店頭で実機に触れられ、電話とチャットの窓口も用意されているが、昼から夕方は電話がつながりにくい。無料ゆえに利用店舗が多く、操作の情報が集めやすいのも実務では効く。導入前なら画面を映しながら相談できるオンライン導入相談の窓口もあり、機器の選び方から詰められる。
2009年9月設立の株式会社ユビレジが提供するiPad用POSで、国内のクラウド型としては古参にあたる。売上と在庫はクラウドに集約され、複数店舗の比較や会計ソフトへの書き出しができる。有料プランを軸に、電話サポートは有償のプレミアム電話サポートとして別立てになっている構成だ。情報セキュリティはISO/IEC 27001の認証を取得。株主にSBIインベストメントやセールスフォース・ジャパンが並び、本社は渋谷区千駄ヶ谷。
画面の作りが素直で、アルバイトの入れ替わりが多い店でも教える手間が少ない。ハンディやレシートプリンター、キャッシュドロアの組み合わせ例が整理されているのも導入時に助かる点だ。ただし電話で相談したい店は有償オプションの費用を見込む必要があり、無料で使える範囲は狭い。Android端末では動かないため、機器はiPadに固定される。資本金は1億円、販売支援や連携のためのパートナー制度も持ち、会計事務所や販売店経由での導入も多い。
業種特化を看板にするクラウドPOS。サービス開始は2013年5月、現在はパーソルグループから事業を承継して2019年12月に設立されたポスタス株式会社が運営する。飲食、小売、美容サロンでプランが分かれ、飲食ならテイクアウトやセルフオーダー、小売なら棚卸や予約販売といった機能が最初から組み込まれている。メニューの初期設定と機器設置を代行し、店舗スタッフの研修まで含めて立ち上げる流れが基本。365日対応のコールセンターと駆けつけサポートを備える。
数店舗以上を回す事業者、レジ担当を専任で置けない現場に向いた作りだ。料金は公開されておらず個別見積なので、他社と横に並べて比べるには手間がかかる。ショールームで実機操作を試せるので、見積の前に触っておきたい。逆に、月数万円の固定費を避けたい一人店舗なら、無料プランのあるサービスのほうが釣り合う。有償モバイルPOSで国内トップクラスのシェアを掲げ、資本金は11億50万円、金融機関と提携した紹介チャネルも広げている。
東京都中央区築地5-4-18 汐留イーストサイドビル2・3F
決済端末とPOSレジアプリを一体で使えるのが持ち味。POSレジアプリは無料、月額固定費なし、売上の振込手数料も0円で、収益は決済手数料から取る仕組みだ。対面決済は条件を満たす中小事業者が主要カードブランドで受ける場合2.5%、それ以外や電子マネー、QRコード決済は3.25%、オンライン決済は3.6%。端末はリーダーが4,980円、スタンドが29,980円、ターミナルが39,980円、ハンディが44,980円、レジスターが99,980円と価格が明示されている。
現金だけの店がキャッシュレスとレジを同時に整える場面では、手続きが少なくて済む。売上が伸びるほど手数料の絶対額は重くなり、取引高が大きい事業者はカスタム料金の相談が前提になる。即時入金を使うと送金額の1.5%が別途かかる点も計算に入れたい。券売機のような設備や、業種に深く踏み込んだ機能は範囲外で、そこは専業メーカーの領分だ。端末は据置のスタンドから持ち歩けるハンディまで揃うので、店内会計と屋外イベントを同じアカウントで回せる。
店舗BGMで知られるUSENが店舗DXの一環として展開するPOS。飲食向けのUSENレジ、美容サロン向けのUSENレジTAB BEAUTY、物販のTAB STORE、クリニックや薬局向けのTAB HEALTHCAREと、業種ごとに製品が分かれている。セルフレジやハンディも自社ラインで揃い、注文から会計、レジ締めまでを一社で組める。設置と保守はグループのUSENテクノサービスが全国で受け持ち、サービスごとに専用の問い合わせ窓口が用意されている。
BGM、通信回線、防犯カメラ、電気やガスまでUSENでまとめている店なら、窓口が一つで済む利点は小さくない。裏を返せば料金は個別見積で、営業経由の提案が中心。アプリを入れて明日から自力で始めたい人の流儀とは合わない。設備を含めて数年使う前提の店、複数のサービスを一本の請求にまとめたい店に向く。契約期間や保守の範囲は書面で確認しておきたい。予約管理のUSEN RESERVE BEAUTYやスタッフシフトなど周辺サービスも同じグループで揃う。
2007年設立の株式会社ユニエイムが手がけるAndroid端末ベースのクラウドPOS。月額利用料0円のスタータープランがあり、初期費用を抑えた立ち上げもできる。レシートプリンター一体型の6800UAのような専用端末から、セルフレジ、タッチパネル式の券売機までを自社で用意しているのが特徴で、小売、アパレル、飲食、サービス業と業種の幅が広い。商品マスタの初期設定や電話とメールでのサポートは無料の範囲に含まれる。
iPadを別途買わず専用端末で完結させたい店、イベント物販やポップアップのように短期で台数を増やす使い方に向く。レンタルでの導入も選べる。知名度は大手より低く、外部アプリの連携先も多くはないので、既存の会計ソフトや予約システムとつなぐ前提なら対応状況を先に問い合わせたい。端末が自社製に寄る分、機器の選択自由度は下がる。本社は東京都港区南麻布で、POS事業のほかに決済代行やチケット、イベント関連の事業も持つ会社だ。
日本電気が提供するサブスクリプション型のPOSで、飲食業の多店舗運営に軸足を置く。全店共通の商品設定を一括で変えながら店舗固有の設定は残す差分商品マスターの仕組み、モバイルオーダーやデリバリー、決済など40を超える外部サービスとの標準連携が売りだ。1,500社以上の導入実績を公表し、24時間365日のコールセンターと全国のフィールドエンジニアが、機器設置からスタッフ教育までを引き受ける。POS事業の歴史は40年以上に及ぶ。
既存の周辺機器を活かして本体だけ入れ替えたいチェーン、深夜営業でトラブル対応を落とせない業態に向く。アプリ配信型のため機能更新は自動で入り、制度改正への追従も本体側で進む。料金は問い合わせが前提で、一人店舗が単独で契約する価格帯ではない。細かい要件があるなら、連携先サービスの対応可否を契約前に潰しておきたい。トライアルの用意があるので、現場のオペレーションに合うかは実機で確かめられる。
計量器から出発した老舗メーカーで、創業は昭和初期にさかのぼる。食品スーパーの精肉や鮮魚の売場で使う計量値付機、ラベルプリンタ、そしてPOSを一体で設計できるのが他社との違いだ。会計と精算機を分けるセミセルフの方式を早くから展開し、他社製のレジ側システムと自社の精算機を組み合わせた導入例もある。券売機や食品工場向けの自動計量包装値付機も同じ会社の製品で、売場の裏側まで一貫して見ている。
量り売りのある店、生鮮を扱うスーパー、値付けとレジを連動させたい現場では選択肢が限られ、そこにこの会社の存在感がある。逆に席会計中心の飲食店や小さな物販なら、クラウドPOSのほうが軽くて安い。設備投資と保守契約を前提とする相手なので、見積は台数だけでなく売場のレイアウト込みで取ることになる。創業から百年近い会社で、記念サイトや会社案内も公開されており、事業の歴史をたどれる。海外にもグループ会社を持つ。