庭先で鶏やウズラの有精卵を自分の手で孵してみたい人のための、家庭用の小型自動孵卵器くらべ。転卵も温度管理も機械に任せられる機種だけを集め、卓上に置ける入卵3個の小箱から鶏卵24個クラスまで、いまAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、正規代理店で買える現行モデルを並べた。
見たのは、入卵数と転卵の方式(ローラー、ディスク、ゆりかご、床スライド)、温度と湿度をどこまで自前で制御できるか、加湿が水皿頼みか給水ポンプ付きか、庫内の温度計とのズレを直せる較正機能、水切れや高温の警報、孵化前に転卵が自動で止まるか、掃除のしやすさ、日本語説明書と国内サポート、そして実売価格。家庭用の小型自動孵卵器は1万円台の入門機から7万円近い施設向けまで開きがあり、任せられる仕事の量もそれだけ違う。安さだけで決めると、真夜中の温度低下に泣くことになる。
順位を動かすのは編集部ではなく利用者の投票なので、上から順に良い機種と読む必要はない。各カードの長所と短所、実際に孵した人の声を突き合わせ、置き場所と入卵数、電気代、そして卵を入れてから孵化までの三週間を世話しきれるかどうかで選んでほしい。孵った雛をどこで育てるかまで決めてから、電源を入れるのが順序というものである。
韓国オートエレックス製Rcom Mini(PX-03)に日本の販売名を付けた卓上機。鶏卵なら3個、ウズラやオカメインコの卵は専用卵座で7個入る。1時間ごとにローラーが卵を転がし、孵化末期にはマイコンが転卵を止める。温度設定は30〜40℃、水位センサーが減った水を液晶で知らせ、カバーの開けっぱなしには警報が鳴る。本体は260×200×110mmで消費電力は約10W、電源はDC12Vのアダプター。実売は1万7千円台から2万円台前半、楽天ではたまぴよミニの名でも流通する。
数個の卵を確実に温めたい人向き。抱卵をやめた親鳥の卵を急いで拾い上げる、ヒメウズラを数羽だけ増やす、といった使い方に合う。鶏をまとめて孵したい農家には小さすぎる。庫内湿度の数値表示はないので、小さな温湿度計を一緒に入れておくとよい。室温が20℃を切ると設定温度まで上がりきらないことがあり、冬は発泡箱に入れるなどの手当てが要る。
入卵数は鶏卵サイズで10個、ウズラなら30個。転卵は卵座ごと回すディスク方式で、周期は10〜360分、作動秒数を変えて回す角度も調節できる。温度は20〜42℃、孵化日数は1〜50日、放冷時間は0〜6時間まで設定でき、孵化3日前には転卵が自動で止まる。庫内に置いた温度計との誤差を直せる較正機能つき。サイズは259×236.5×172mm、消費電力は最大36W、平均21W。
数個では物足りなくなった人の二台目に向く。設定項目が多い分、ニワトリ、ウズラ、アヒル、キジの自動モードと手入力モードを使い分けられるのが強み。ただし湿度調整装置はオプション扱いで、標準のままでは水皿と換気口で湿度を作る昔ながらのやり方になる。乾燥する季節に鶏卵を孵すなら、はじめから湿度装置つきの上位機を選んだほうが手間が減る。
プロ10と同じ鶏卵10個の器体に、別売り扱いだった湿度調整装置を標準で組み込んだ全自動機。湿度は20〜70%の範囲で設定でき、給水すれば装置側が加湿を続けるため、水皿を足したり引いたりする作業から解放される。温度は20〜42℃、転卵はディスク方式で周期と角度を設定でき、較正機能もそのまま。Yahoo!ショッピングの正規店では36,300円で並ぶ。
卵を三週間まるごと機械に預けたい人、日中に家を空けがちな人に向く。逆に、自分で湿度を上げ下げしながら孵化率を詰めていきたい実験好きには、装置なしのプロ10のほうが安く済む。加湿部があるぶん洗う部品は増え、水質が悪いと目詰まりの原因になるので、給水は水道水を汲み置きするより清潔な水を都度入れたい。
入卵数はニワトリ24個、アヒル20個、ガチョウ9〜12個、ウズラ60個、キジ40個。転卵は本体そのものがゆりかごのように傾くクレードル式で、卵を動かさずに向きを変える。加湿は給水ポンプによる自動制御、工場出荷時は37.5℃と湿度45%に設定されている。本体は約370×231×209mm、1.9kgと軽く、転卵装置を付けると幅432×高262mmになる。大小の卵を混ぜて置ける万能トレー付き。
烏骨鶏やチャボを毎年増やしている人、学校や施設でまとまった数を孵したい人向け。透明な外窓が大きく、殻が割れる瞬間を子どもと眺められるのも人気の理由。半面、転卵装置ごと置ける奥行きと、加湿ポンプの水補給を続ける手間は要る。24個をいっぺんに孵すと育雛の場所も要るので、雛の受け皿を先に用意してから電源を入れたい。
鶏卵サイズで20個。転卵は床がスライドして卵を送る方式で、間隔は60分、120分、180分、停止から選ぶ。温度は20〜42℃、湿度は30〜70%を内部タンクの蒸散方式で保つ。寸法は500×410×160mm、重量4.5kg、卵の置き場所は約325×175×85mm。動物園や水族館、研究施設への納入が多い機種で、正規店の実売は68,200円。
背が低く幅のある器体で、庫内に高さがあるため、生まれて二週間ほどは育雛器代わりに使えるという声もある。希少な鳥を確実に孵したい飼育者や、失敗の許されない場面向けの一台。家庭で鶏卵を数個だけ孵すには過剰で、価格も小型機の三倍以上。床スライド式は卵の下に殻や糞が残りやすいので、孵化のたびに分解して洗う覚悟がいる。
英国製のドーム型小型機。全体が透明で、卵の様子を横からも上からも見られる。設定した間隔での自動転卵に加え、孵化までの日数を入れておくと2日前に転卵を止める。温度異常と室温異常のアラーム、孵化日までのカウントダウン表示を備え、給水口が外側にあるため本体を開けずに水を足せる。サイズは245×245×165mm、重量1.07kg。卵枠を替えることで鶏卵7個またはウズラ卵12個に対応する。
観察が主目的の家庭や学校に向く。水盤には雛が落ちないための仕切りがあり、生まれた直後の事故が起きにくい造り。一方で入卵数は少なく、湿度は給水量と換気口で調整する手動管理。卵枠は鶏卵用とウズラ用が別で、両方を孵したいなら追加購入が必要になる。国内在庫は代理店の入荷次第で、切らすと待たされることがある。
ミニアドバンスIIの操作系をそのままに、器体を大きくして鶏卵14個クラスまで入るようにした中型機。自動転卵と孵化前の自動停止、孵化日までのカウントダウン、温度警報といった機能は共通で、卵枠を替えればウズラなど小さな卵も並べられる。国内では大手モールでの扱いがほとんどなく、正規輸入代理店ベルバードの通販が主な入手先になる。
鶏を数羽ずつ更新したい家庭や、種類の違う卵を年に何度か孵す人にちょうどよい容量。ミニでは足りず、20個クラスは大きすぎるという層の受け皿になる。湿度は水皿と換気口で作る方式なので、梅雨時と冬とで水の量を変える手間はかかる。部品や卵枠の取り寄せは輸入待ちになることがあり、繁殖の予定より早めに手配しておきたい。
数少ない日本製の家庭用ふ卵器。卵の収容数はニワトリ12〜16個、キジやチャボ30個、クジャク6〜9個、ウズラ42個で、自動転卵装置を備える。寸法はW37×D32×H33cmの箱型、電源はAC100Vで55W、コードは2m。温度調節はサーモスタット式という素朴な造りで、価格は送料込みでおよそ6万9千円。製造元のある伊奈町ではふるさと納税の返礼品にもなっている。
海外製の樹脂ドームに不安を覚える人、故障したときに国内で直せることを最優先する人に向く。部品供給とメンテナンスをメーカーが受けるため、十年単位で使い続けている養鶏家も多い。反面、液晶で温湿度を細かく数値管理する現代的な機能はなく、湿度は水皿頼み。庫内をひと目で見渡すガラス張りでもないので、観察を楽しみたい向きには物足りない。
鶏卵24個が入る樹脂製の全自動タイプで、Amazonの恒温器カテゴリでは長く売れ筋上位に居座っている一台。自動転卵、自動温度制御、湿度保持、デジタル表示という基本機能をひととおり備え、ニワトリのほかアヒルやウズラにも使える。日本語の説明書と一年保証が付き、価格帯は正規の輸入孵卵器の数分の一。子どもの自由研究や学校の授業で選ばれることも多い。
初めての一台として、まず孵るかどうかを試したい人向け。数を詰められるので、有精卵をまとめて取り寄せる場合にも向く。ただし湿度は水入れに注いだ水の量で決まり、数値を指定しての制御はできない。個体差の報告もあり、届いたら温湿度計を入れて実測し、必要なら卵を入れる前に一日空運転して癖を掴んでおきたい。サポートは販売元とのやり取りが基本になる。
鶏卵で24個、ウズラやガチョウの卵にも対応する家庭向けの一台。転卵ローラーの間隔を卵のサイズに合わせて動かせるので、大きさの違う卵を入れ替えながら使う人でも扱いやすい。加湿はコットンによる自然蒸発と超音波霧化の二方式を備えた構成で、この価格帯では珍しい部分。給水は蓋を開けずに外から足せ、低温警告、孵化日数の表示、庫内が見える透明ドア、検卵用のLEDライトまで本体側にまとまっている。熱風を三方向から循環させて庫内の温度差を抑える設計で、100V専用のほか12Vバッテリーに接続できる版も選べる。
向いているのは、初めての人工孵化で必要な機能を一通り試したい人、孵化後しばらく雛の保温箱として使い回したい人。日本語説明書が付き、メーカーは1年保証を明記している。ただし表示される温度と湿度が実測と一致するかは自分で確かめたいところで、小さな温湿度計を庫内に置いて突き合わせる使い方が現実的。超音波加湿を使うと水の管理と拭き取りが増えるため、置き場所は水濡れを気にしない棚を選んでおくと後が楽になる。