和ろうそくは、櫨の実や米ぬかからとった植物の蝋を使い、職人が一本ずつ手で仕上げる灯りです。炎が大きくてやわらかく、油煙が少ないので、仏壇にもふだんの食卓にも向きます。手作り和ろうそくの工房を、創業年や原料、値段、見学や絵付け体験の内容まで並べて比べられるようにまとめました。お盆や法事の準備をする人、お寺に納める灯明を探している人、家族や友人に長く使える贈り物をしたい人に向けたページです。サイズの表し方も洋ろうそくとは違い、3匁で長さ135ミリほど、30匁で240ミリほどと匁で数えます。はじめて買う人がつまずきやすいところなので、各カードでも寸法や燃焼時間に触れました。
和ろうそくづくりは室町時代に伝わり、江戸時代には各藩が櫨の栽培をすすめて、岡崎、七尾、会津、内子、越前、京都などに産地が育ちました。選ぶときに見たのは六つの点です。手作業の工程がどこまで残っているか、原料が国産の櫨蝋や米ぬか蝋かどうか、1匁297円からのような一本あたりの値段、寺院用の大きい寸法や戒名入りまで頼めるか、通販で全国に送ってもらえるか、工房の見学や絵付け体験ができるか。国産の櫨蝋をしぼる事業者は数社まで減っていて、同じ和ろうそくでも原料と製法で値段が何倍も変わります。体験の料金は1,000円から3,000円ほどが目安で、見学だけなら無料の工房もあります。ここに並ぶのは、家族や少人数の職人でいまも製造を続けている手作り和ろうそくの工房だけです。仏具の小売店やお香の専門店、機械生産だけの工場は外しました。
順位は編集部が決めるものではなく、コミュニティの投票で動きます。だから一位が誰にとっても正解というわけではなく、自分の使い方に近い工房を見つけるのが早道です。仏壇用に毎日灯すのか、お盆の一晩だけ使うのか、飾るための絵ろうそくを探しているのかで、選ぶ先は変わります。各カードには良い点と気になる点、利用者の口コミが並んでいます。定休日や体験の予約方法、送料や届くまでの日数も書いてあるので、出かける前や注文する前に目を通してみてください。能登のように地震の影響で仮店舗で営業している工房もあるため、訪ねる日が決まっているなら電話で確かめると安心です。
明治40年(1907年)創業、愛知県岡崎市十王町にある和ろうそくの工房。使うのは100%国内産の櫨の実蝋、和紙、い草の髄、真綿だけで、15ある工程をすべて手作業で仕上げている。3代目職人の松井規有さんを中心に、芯巻き、4代目の女性職人、絵付けの絵師まで家族で分担する小さな体制。2016年の伊勢志摩サミット関連行事では手描き絵ろうそく「かきつばた」が各国首脳150名への贈答品に選ばれ、2006年に愛知ブランド企業として認定、和ろうそくは伝統工芸品の三州岡崎和蝋燭にも認められている。住所は岡崎市十王町2-33、電話は0564-21-4207で、営業は9時から17時。
工房見学は無料で、絵付け体験はじゃらんやアクティビティジャパンから予約できる。工房で使える2,000円分の商品券が付く特別見学プランや、家で楽しめる絵付けキットも用意されている。最高級品だけを作る方針なので、値段は洋ろうそくより高い。毎日たくさん灯す人や安くまとめ買いしたい人には向かないが、法事の一本や海外への土産を探している人にはちょうどよい。不定休なので、訪ねる前に予約サイトかInstagramで営業日を見ておくと安心。YouTubeでも製造の様子を公開していて、行く前に工程を知っておける。
愛知県岡崎市十王町2-33
1720年創業で、自らを日本でいちばん歴史の古いろうそく店と紹介する岡崎の老舗。300年あまり原料と技法を変えず、国内産の櫨蝋を100%使った手造りの和ろうそくを作り続けている。現在の店主は9代目。店では和ろうそくのほか、お香、燭台、芯切りばさみ、贈り物向けの入門キットまでそろう。和ろうそくの歴史がわかる展示もあり、灯りの体験や女将の話を聞ける見学は予約制で、ガラス越しに職人の作業も見られる。店の系譜や9代目店主のインタビュー、製造工程の解説をサイトに載せているので、買う前に和ろうそくの知識を仕入れられる。
場所は東岡崎駅から歩ける八幡町で、営業は10時から18時、水曜と日曜が休み。駐車場は3台なので、車で行くなら早い時間がよい。夜の特別体験会など少人数のイベントも不定期に開いていて、灯りとお香を落ち着いて味わいたい人に向く。オンラインショップもあるため遠方からでも買えるが、手造りのため人気の寸法は品切れになることがある。日曜に立ち寄りたいときは事前に連絡が必要。住所は岡崎市八幡町1-27で、電話は0564-24-0245、問い合わせ用のメールも公開されている。テレビで取り上げられることも多く、お盆前は混み合う。
愛知県岡崎市八幡町1-27
1887年創業、京都市伏見区の和蝋燭と絵蝋燭の製造元。寺院向けの灯明から家庭用、進物用まで手がけ、原料はすべて植物性で油煙が少ないのが持ち味。京蝋燭の呼び名で知られ、櫨の栽培プロジェクトや「京都悠久の灯」プロジェクトにも参加している。香りを付けた現代向けの蝋燭や、額に入れた絵ろうそくのような贈り物商品もあり、額装絵ろうそくは25,000円台(税抜)から。特注のオーダーメイド生産や卸売にも対応する。店は京都駅から地下鉄と近鉄でアクセスできる伏見区竹田三ッ杭町57-8で、営業は9時から17時30分。
工房での見学と体験教室があり、京都駅ビルなどのイベントに絵付け体験で出展することも多い。伝統的な形の和蝋燭を京都で買いたい人、寺や茶席で使う寸法を相談したい人には頼りになる。一方で定休日は不定で、イベント出展のため店を閉める日もあるので、訪問は事前確認が前提。支払いはクレジットカード、銀行振込、代金引換に対応している。値段は普段使いの洋ろうそくと比べると高めで、贈答や特別な日に向く価格帯。寸法と燃焼時間の一覧をサイトに載せているため、仏壇の大きさから逆算して選べるのも助かる点。
京都府京都市伏見区竹田三ッ杭町57-8
1914年創業、滋賀県高島市今津町の和ろうそく専門メーカー。4代目の大西巧さんが代表で、大本山永平寺御用達、1984年には滋賀県の伝統工芸品に指定された。原料は100%単一の植物蝋にこだわり、看板の櫨ろうそくは国産の櫨蝋だけを手で塗り重ねる「手掛け」でつくる。国産櫨蝋は年々手に入りにくく値も上がっているため、米ぬかからとった蝋100%の米ろうそくも開発し、ふだんの暮らしで使いやすい灯りとして広げている。住所は高島市今津町住吉2-5-8、電話は0740-22-0557。NHKの番組や雑誌で紹介され、全国の工芸店でも扱われている。
通販では、まめろうそくと燭台のギフトセットが3,300円、十二か月の草花を手描きした特撰絵ろうそく3号12本入が11,000円など、贈り物の価格帯がわかりやすい。仏事だけでなく茶事や食卓でも使えるので、和ろうそくを初めて試す人にも選びやすい。人気の品は売り切れが出やすく、櫨ろうそくは原料の都合で価格が高い。店は近江今津駅の近くにあるが、訪ねるなら営業日を電話で確かめたい。色付きのまめろうそくは小さくて燃焼時間が短く、夜に少しだけ灯したい人にも合う。
滋賀県高島市今津町住吉2-5-8
明治25年(1892年)創業、石川県七尾市の一本杉町にある七尾和ろうそくの老舗。石川県内で和ろうそくを作っているのはこの一軒だけで、県の希少伝統工芸品にもなっている。櫨や米ぬか、菜種、椰子の油といった植物の蝋を使い、芯には和紙と灯芯草を巻く。菜の花ろうそくや四季あかりのように、仏壇だけでなく部屋の灯りとして使える小さめの商品が多い。明治期の店舗は国の登録有形文化財。JR七尾駅から歩いて10分ほどで、電話は0767-53-0406。
2024年の能登半島地震の影響で、現在は一本杉町37番地の仮店舗で営業している。営業は9時から17時、水曜と日曜が休み。和ろうそく作り体験は1人3,000円、絵付け体験は1本1,000円、匂い袋作りは1袋2,000円で、家族連れでも参加しやすい値段。駐車場は4台と少なく、体験は予約が必要。営業日や体験の実施はイベントで変わることがあるため、公式サイトやInstagramの案内を見てから出かけたい。米や菜種の蝋を使った商品は、お供えだけでなく贈り物として選ばれることが多い。
石川県七尾市一本杉町37(仮店舗)
創業は約200年前、愛媛県内子町に残る一軒だけの和ろうそく屋。ハゼの実からしぼった木蝋を炭火で溶かし、素手ですくって芯に塗り重ねる生掛け製法を6代目の大森太郎さんと7代目の亮太郎さん親子で続けている。仕上げに50度ほどの蝋でつやを出すため、独特のうぐいす色になり、切り口は年輪のような模様。色も絵も付けない素朴な姿で、炎が大きく蝋が垂れにくいのが特徴。大英博物館のサイトで紹介されたこともある。住所は喜多郡内子町内子2214、電話は0893-43-0385で、JR内子駅から歩いて15分ほど。内子の古い町並みの散策と合わせやすい。
店頭では10センチほどから32センチまで、匁で表した和ろうそくと燭台が並び、値段は1匁297円から。営業は9時から12時と13時から17時で、火曜と金曜が休み。時間が合えばガラス越しに作業の様子を見られる。通販の送料は一律880円、15,000円以上で無料。親子2人での製造なので生産量は多くなく、大口の注文や急ぎの手配には向かない。絵ろうそくのような華やかさを求める人よりも、灯りそのものを楽しみたい人向け。絵付けはしていないので、色や柄を求める人は会津や岡崎の工房のほうが選びやすい。
愛媛県喜多郡内子町内子2214
慶応元年(1865年)から和ろうそくを作る福井の老舗で、現在は7代目。大本山永平寺御用達で、越前和蝋燭として郷土工芸品に数えられる。本店は旧北国街道の呉服町通りに面し、2002年に建て替えた店舗は福井市都市景観賞を受けた。寺で使う大きな蝋燭から、手描きの絵ろうそく、7本そろえると一つの風景になる絵ならべろうそくのような遊び心のある品まで幅が広い。お香や塗香、線香も自社で扱う。本店はJR福井駅西口から歩いて15分ほどの福井市順化2-15-9。
電話は0776-22-0986で、フリーダイヤルの受付は9時から17時30分、日祝休み。ショッピングセンターのエルパ1階には「あかりと香りの専門店jin」も出している。塗香づくり体験ができるので、香りに興味がある人は工芸体験として楽しめる。仏事用の定番から土産向けまでそろう反面、和ろうそく一本ごとの手仕事を見学したい人には情報が少ない。ネット通販はお盆や連休にまとまった休業があるので、急ぎの注文は日程に余裕をもたせたい。仏壇仏具の見本市や地元の工芸イベントにも出展していて、実物を手に取れる機会がある。
福井県福井市順化2-15-9
明治20年創業、兵庫県西宮市今津水波町の和ろうそくメーカー。もとは姫路城下の製造業者から分家し、大阪を経て戦後に西宮へ移った。4代目の松本恭和さんが「清浄生掛け」という伝統技法を守り、一本ずつ手作業で和ろうそくと絵ろうそくを仕上げている。各宗本山御用達として寺院の灯明を納め、1996年に兵庫県伝統的工芸品の指定を受けた。電話は0798-36-6021、営業は9時から17時で日祝と盆、年末年始が休み。店は阪神久寿川駅からすぐで、住所は西宮市今津水波町11-3。
実店舗の奥には創業時から続く作業場があり、工場見学は予約制。別棟の「和ろうそくkobe」では、和ろうそくやお香、キャンドルの体験教室を開いている。阪神百貨店本店や神戸阪急などの催事に出ることも多く、関西に住んでいれば実物を見て選べる機会がある。手描きの絵ろうそくや線香はオンラインでも買える。催事期間は店の対応が手薄になることがあり、まとまった注文は早めの相談が安心。和ろうそくは灯すとぱちぱちと小さな音を立て、炎の表情が変わるのを楽しめる。
兵庫県西宮市今津水波町11-3
江戸時代中期の明和年間に創業し、250年あまり会津絵ろうそくを作り続けている専門店。会津若松市上町に店があり、一本ずつ手作りして、1月から12月までの季節の花を手描きしている。花のない会津の冬に、花の代わりとして飾ってきた灯りという背景も伝えている。寸法は3匁が長さ135ミリ、径14ミリ、30匁で長さ240ミリ、径34ミリまで。小さい1.5匁が1本495円、3匁が748円で、戒名を入れる7匁から15匁のろうそくも注文できる。鶴ヶ城から車で10分ほどの場所にあり、電話は0242-22-5769。
絵付け体験は所要1時間ほどで、予約サイトから当日申し込みできる日もある。旅の記念や子どもの自由研究にも向く内容で、家族で並んで描ける。通販はオンラインストアがあり、箱だけの購入もできるので、手持ちのろうそくを贈り物に仕立て直したいときに便利。絵ろうそくは灯すよりも飾って楽しむ使い方が中心なので、毎日の仏壇用をまとめて買いたい人は白い和ろうそくを扱う工房と合わせて検討したい。12種類の絵柄は月ごとの花で分かれているので、命日や誕生月に合わせて選ぶ人も多い。
福島県会津若松市上町2-34
会津若松市西栄町にある会津絵ろうそくの店で、手作り、手描きの絵ろうそくを製造している。会津で絵ろうそくを作る店はいまでは数軒だけ。芯が太めで炎が大きく、それでいて長持ちするのが会津の絵ろうそくの持ち味。サイズの幅が広く、大きいものは家庭の仏壇に入らないほどの寸法もある。絵ろうそく以外に蜜蝋のろうそくや練香、印香なども置いていて、香りの品を一緒に選べる。営業は9時から17時で不定休、電話は0242-27-0652。住所は会津若松市西栄町6-27で、七日町の通りからも近い。
志野流の香道体験教室を開いていて、お香を聞く時間を気軽に体験できるのも珍しいところ。絵付け体験も受け付けているので、会津の街歩きに組み込みやすい。公式の通販サイトは見当たらず、案内はInstagramとX中心。遠方から欲しい場合は電話で在庫と発送を相談する形になる。不定休のため、旅程が決まっているなら前日までに連絡を入れておきたい。店内には大小の絵ろうそくが並び、赤べこや起き上がり小法師にちなんだ形も見つかる。
福島県会津若松市西栄町6-27